• Sep
  • 26
  • 2008

『スカイ・クロラ』(森 博嗣 著)を読んで『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』を観た

映画『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』が話題の割にイマイチだったというので気になって、小説『スカイ・クロラ』を読んだ。で、今頃レイトショーをやっているのを見つけたので、会社帰りに観た。

映画は確かに微妙だった。でも、つまんなくはない。

映画のチケットを買ってから原作(と言っても『スカイ・クロラ』だけ)を読み終えて、その直後に観たからか原作とのギャップで混乱して余計にそう感じたのかもしれない。

映画だけ観た人はほとんど意味が分からなそうだし、原作を読んでいる人にはものたりないだろうなと思った。もちろん、映画が原作に忠実である必要はないし、むしろ映像化することででてくる面白みもあると思う。事実、飛行機が飛ぶシーンや戦闘シーンは鮮烈と言っていい映像だったし、作品のテーマの1つでもある「くり返し」も映像化するととてもわかりやすい(ただ、ぼーっと見てると、“使い回し”に見えなくもない)。

押井 守は、映画化が決定したときには「エンターテインメント作品として作ろうと」思っていたようだけれど、エンターテインメントとして作ろうとすれば、いわゆる「戦争」とか「ラブロマンス」とか「生と死」とか、ステロタイプ的な部分を強調していかないといけないんだと思う。

けれど映画で強調しようとしたと思われる「戦争」や「ラブ」や「死」は、原作の『スカイ・クロラ』では、普通の「戦争」や「ラブ」や「死」とは異質なものとして扱われていて、それが原作のテーマにもなっている(たぶん)。

異質なものをいくら強調してもステロタイプにはなり得ないので、結局その「異質さ」(つまりはメッセージ性)を表現しないと映画としては成立しなかった。で、メッセージを表現するのには原作にならって難解な長台詞を入れないといけなくて……

というパラドクスというか“徹しきれなさ”みたいなものが消化不良になっちゃったのかなと妄想した。たぶん違うけど。

もっと「ショートしての戦争」とか「子供の姿のまま生き続けるキルドレ」をわかりやすく描ければ違ったのかもしれないけど、それはそれでダメなのかもしれない。

でも、飛行機のアニメーションだけでも見る価値はあると思う。飛行機の計器類の表示までもが正しい値を示している(らしい)という変態さ。このへんはさすが押井 守と言いたい。


原作はもっと淡々と日常を描いている風で、戦闘シーンも気を抜くと戦争だと思えないくらい詩的になっている、そこが『スカイ・クロラ』のテーマの鍵でもあるし、魅力でもあると思う。情景描写はそんなに細かくないのにどこか重厚な感じで、個人的には『罪と罰』とか読んでるときの感じに近かったかも(意味不明)。


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