- May
- 26
- 2008
最近読んだ本。その10『ティファニーで朝食を』(トルーマン・カポーティ 著/村上 春樹 訳)
ぼちぼち読み始めた、大量に仕入れて読んでなかった本。第10弾。映画『カポーティ』を観て『冷血』を読もうと思ったけど売ってなくてあきらめた矢先、Amazonで村上春樹訳の『ティファニーで朝食を』が出るというのを知ってすぐに予約した。
映画『ティファニーで朝食を』は観てなくて、主演が誰だったかもおぼろげなまま読んだ。結果としてはそれが幸いだったかも。
単行本には中編小説「ティファニーで朝食を/Breakfast at Tiffany's」の他、短編小説「花盛りの家/House of Flowers」、「ダイアモンドのギター/A Diamond Guitar」、「クリスマスの思い出/A Christmas Memory」の3話が収録されている。
第二次世界対戦下のニューヨーク。自由奔放で美しく、朝食用のシリアルのように健康そうで、石鹸やレモンの清潔さを持つヒロイン、ホリー・ゴライトリー。彼女を取り巻く男たち、自由気ままで謎めいた生活。彼女と同じアパートに住む“僕”は、決して“僕”のものにならない彼女に惹かれていく。
物語は主人公“僕”の視点で語られる本当に控えめなラブストーリー。ホリーの性的魅力がほとんど具体的には描かれないあたりが、自由奔放であやしいながらも純真なホリーに惹かれる“僕”の控えめな恋心をよく表していると思う。
この控えめな感覚は日本人に合うような気がする。日本映画として明治あたりを舞台にしてリメイクしても良さそうだ。
村上春樹の翻訳は、翻訳っぽい感じがしなくて好きなんだけれど、そのせいもあってか物語の魅力がとても鮮明に感じられた。
描かれた時代の背景なんてあまりよくわからないし、ましてや映画も観ていないので、そのまっさらな状態が良かったのかもしれない。
訳者あとがきで「だから翻訳者としては、本のカバーにはできれば映画のシーンを使ってもらいたくなかった。」と言っているのもよくわかる。見たものにイメージがひっぱられやすい僕は、映画を観ていたら間違いなく、ホリーの顔がオードリー・ヘプバーンになってただろうし、“僕”も男前になっていただろうから。
映画『カポーティ』の中でカポーティが執筆している『冷血』はこの『ティファニーで朝食を』のあとに書かれたというのが驚きだけれど、彼ならこんなストーリーも描くかもと、どこか納得できる部分もあるのが不思議。
他の3編について:
「花盛りの家」は娼婦としては成功している幸福な“はず”の主人公が幸せを手に入れるまでの話。
「ダイアモンドのギター」も面白かった。殺人を犯して99年の刑で服役中の受刑者が、ある日入所してきた青年受刑者に脱走を持ちかけられるという話。手塚治虫のマンガになりそうな話だなと何となく思う。
「クリスマスの思い出」も不思議な感じのする話だった。7歳の主人公とその“親友”の60歳を超えたいとこの話。大人になるっていうのは別れるってことなのかなと。こういう話は映像には出せない魅力がある気がする。
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おすすめ度:
5.0
小気味良いコケティッシュなホリーが目の前にいる新訳
ホリデー・ゴライトリーの魅力はたっぷり。
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- 01:24
- Auther
- ken
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