005-映画の最近のブログ記事

『太陽 The Sun』を観た。1945年の終戦間際から、約半年間の昭和天皇を描いた映画。監督はロシアのアレクサンドル・ソクーロフ。この監督は他にもヒトラーやレーニンを題材に映画を撮っているそうだ。
この映画、淡々と天皇の日常生活を描いていて、原爆も、終戦も、この手の映画につきものの戦争の描写はほとんど出てこないし説明もない。ただひたすら昭和天皇の私生活を描くのみである。午睡をしている天皇が見る東京大空襲の悪夢が、数少ない戦争描写の一つだけれど、これが悪夢と呼ぶにぴったりの映像ですごくいい。
「神格」を有していながらただの人である天皇を見事に演じるイッセー尾形がいい。ときおり「あ、そう」とつぶやくのが、悲しくも滑稽な、微妙な雰囲気が出ていて印象的。しかも似ている。侍従長の佐野史郎と、老僕のつじしんめいの演技もとてもいい。桃井かおりもちょっとしか出てないけれど、微妙な表情の揺れで魅せるところはやはり女優だ。
しかし、あらためて自分の国の歴史をほとんど知らないんだなぁと思った。
あと、銀座シネパトスは電車の音が響くので、映画に妙な雰囲気が出てたw
うちの奥さんが言ってたのはこれのことか。たしかに面白い表現だ。tokyoace4さんで言われているように、Flashでアレしたような映像だけれど、なんでもデジタルロトスコープという手法(フィルムの上に線を書くような技法と思う)を用いているらしい。
CNET Japanの記事に詳しいけれど、たぶん、ロトスコープというのは、映像ソフトの上で、パスで輪郭をなぞっていくような作業をするんだと思う。数時間の映画を全編に渡ってこれやるのは作業としては信じられない。
実写の撮影には細かいメイクなどが必要ない(アニメーションにするから)ので、俳優の拘束時間も短くなって、低予算で済む。この映画の場合、実写の撮影は6週間程度だったそうだ。ただ、この映画はロトスコープ作業で失敗して、1年も公開がのびてしまったとのこと。
この映画にはロトスコープ作業に特化したRotoshop(いい名前だw)というソフトウェアが使われたらしい。市販はされていない(開発元:Flat Black Films)。
blog.tokyoace4.com: A Scanner Darkly
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[【コラム】シリコンバレー101 第184回 キアヌの熱演を下敷きにしたアニメ「A Scanner Darkly」 (MYCOMジャーナル)]

いまごろ、『嫌われ松子の一生』を観た。
面白いと聞いていたので、さぞかし笑えるのかと思ったら、笑っていいのかどうなのか微妙なシーンの連続で、面白いけれど、辛いという微妙な感情の揺れを体験できる貴重な映画だったw
しかしキャストの豪華さと、ミュージカル仕立ての音楽の良さだけでも十分楽しめた。映像もなかなか良くできていて、漫画的なCGの使い方とか勉強になった。なんかで使おう。

手羽先栗子さん(仮名)に教えてもらったドキュメンタリー映画「アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶」を観た。
彼はフランスの写真家でかなり有名な人、僕でさえ彼の写真をいくつも見たことがあるw。残念ながら、2004年8月、95歳で亡くなっている。
その彼が自らの作品を語ったドキュメンタリー。作家のアーサー・ミラーや写真家のエリオト・アーウィットも出演し、彼の作品について様々な角度で語っている。
彼の作品の魅力はこの映画や写真集などで感じてもらうとして、とても感心したのが、彼が映画の冒頭で「僕には現像の才能がなかったから、現像は信頼できる仲間に全て任せている」と語ったところ。
いわゆる写真家というと、“作家”性というものから来る、「全てを自分でコントロールしなければ気が済まない」というような、他人の手が入るのを良しとしない、自己主張の強さみたいのを持ってる感じがするけど、この冒頭の一言で、彼には“デザイナー”的な側面もあるのかなぁと思った。デザイナーとしては都合のいい解釈だけど、「写真」を「デザイン」に置き換えて観ても面白いと思った。
ただ、この日はあまりに歩き疲れて、途中ウトウトして記憶が途切れたorz。
バックに流れるクラシック(バッハのフランス組曲5番とか)が心地よすぎ。
しかし、「Images a la sauvette(The Decisive Moment/決定的瞬間)」っていうマチスの切り絵が表紙になってる写真集は良さげ。しかし中古で12万円位するらしい。復刻とかしてないのかな。ひとまずオンラインで観ることはできるっぽいけど。
The Decisive Moment by Henri Cartier-Bresson
公式サイト:アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶

1950年代アメリカ。ジョセフ・マッカーシー上院議員を筆頭に、共産党員とその同調者を排除する、いわゆる「赤狩り」が行われていた。マッカーシズム呼ばれるこの一連の動きは、アメリカ全土を恐怖に陥れ、メディアさえもが閉塞的になっていく。
そんな時代にジャーナリストのエド・マロー(エドワード・R・マロー)は、自身の報道番組「See it Now」の番組内でこのマッカーシズムに真っ向から戦いを挑む。
GWを利用して読破した『ダヴィンチ・コード』の映画が公開されたものの、あまりに込んでいるので『グッドナイト・アンド・グッドラック』を観ることにした。鳥越俊太郎氏が朝のテレビ番組でこの映画を薦めていて、これはぜひ観てみたいと思っていた映画だ。
惜しくもアカデミー賞からは漏れてしまったけれど、作品としては申し分ない。というか『クラッシュ』(見てないけど)を押さえて作品賞をとってもおかしくなかったんじゃないかと思う。
この映画、本筋はもちろん面白かった(テーマが重くて知らないと若干難解だけど)けれど、当時の時代背景が垣間見れるのが興味深かった。例えば「See it Now」の番組中、マローは煙草を吹かしながら原稿を読んでいる(!)し、会議中の部屋はタバコに煙っている。要所に挿入される当時のTVCFなども、今のように日々消費されていくCFという感じはせず、のどかである。そして社内結婚のエピソードがスパイスになっていて面白かった(経験者としては)。
まとめると、悪政とジャーナリズムと商業主義と社内結婚みたいな映画かな。
エド・マロー役のデビット・ストラザーンがかっこ良すぎる。ジョージ・クルーニーは、ストラザーンの魅力に主役を演じるのをやめたとか。ジョージ・クルーニーは、マローを支えるプロデューサー役。これが渋くていい(監督・脚本も)。シーンの変わり目で流れるダイアン・リーブスの歌もとても心地よい。
「グッドナイト・アンド・グッドラック」というのは、マローが「See it Now」の終わりに必ず言う締めの文句で、当時の人は「グッドナイト・アンド・グッドラック」と聞けばまずこの番組を思い浮かべるというほどだったらしい。報道番組ながら、日本でいえば「いいとも」くらいの浸透度だったということかもね。
